よく犬の血統書って言いますけど血統書っていったい何なの?
って思ったことはありませんか?今日はそんな疑問を解決するために血統書に関して調べてみました。
血統書とは?
臆病及び獰猛な性格を有する犬の子犬は性格が親犬に似るので注意が必要です。性格は非常に遺伝力が強く出現します」とブリーダーに呼びかけていますが、こうした注意に完全な拘束力はなく、「穏やかで人懐こく、優しい」といった犬の性格を保証するものでもありません。 血統書がないことの意味は、犬種標準を満たしていないことのほか、ドッグショー、訓練競技会、アジリティーに参加できない、生まれた子犬に血統書を発行できない、などがあります。しかしそういった外見やショーに興味のない人にとっては、血統書とは全く意味の無いものになります。
JKCをはじめとする世界のケネルクラブでは、純粋犬種の血統を管理し、より犬質の高い犬を繁殖するために必要な祖先犬の情報を「血統証明書」という形で提供しています」と明言しています。しかしブルドッグはアンダーショット(下顎が出すぎているというよくない噛み合わせ)が標準として規定されているなど、犬種標準自体が犬の健康や福祉にを無視しているという矛盾した側面を有しており、上記犬質の高い犬が何を意味しているのかは熟考を要します。
こうしたデータから、1/4近くの犬猫購入者が、スタンダードや血統書の正確な意味を、よく理解していないものと思われます。
血統書の見方
犬名
犬舎名 JP 名前という形が一般的で、真ん中のJPとは、血統書の登録申請をした母犬の所有者が、国際畜犬連盟(FCI)に犬舎登録していることを示します。
本犬データ
- スタンダード・ダックスフンド⇒DH
- ミニチュア・ダックスフンド⇒DHM
- カニーンヘン・ダックスフンド⇒DHK
DNA登録番号
lD番号
股関節評価、肘関節評価
繁殖者・所有者・譲渡年月日
父親の血統図
母親の血統図
登緑日・出産頭数・登録頭数・一胎子登録番号
チャンピオン賞歴
DATE ISSUED
4代祖血統証明書発行申込書
血統書の発行手続き
血統書はいつ発行される?
- 一胎子登録生後90日以内⇒1頭・2,100円
生後91日以上経過後2年以内⇒1頭・5,300円
※一胎子登録(いったいしとうろく)=同じ母犬から産まれた子犬を全部一緒に登録すること - 単犬登録国内団体から⇒1頭・3,200円
外国団体から⇒1頭・5,300~10,500円
※外国団体からのものはタイトルの有無により変動
血統書はどこで発行される?
申請書の審査と血統書の発行自体はJKCが行いますが、DNA登録、および股関節(HD)・肘関節(ED)の評価登録・血統証明書への記載以外の全ての手続きは、本部ではなく所属している愛犬クラブ事務所(全国1,070カ所にある公認クラブ)を経由する必要があります。
- 国際畜犬連盟(FCI)
- 国際畜犬連盟(こくさいちくけんれんめい, 略称FCI)は、純粋犬種の推進、及びそのための情報交換などを目的として設立された団体で、各国のケネルクラブなどを国際的に統括しています。現在80の国や地域が加盟しており、全部で300種を越える犬種はそれぞれの国が担当しています。FCIの役割は各国で決定された犬種の定義と標準を翻訳し、国際的に公表することなどです。
血統書の発行に必要なものは?
- 母犬の所有者がJKCの会員であること 血統書の申請権はJKCに会員登録した母犬の所有者のみが有しています。JKCへの登録料は初年度は6,000円(入会金2,000円+年会費4,000円)で、2年目以降は継続料4,000円のみです。
- 母犬の所有者がJKC公認の愛犬クラブに所属していること JKCを窓口とする手続きはDNA登録、および股関節(HD)・肘関節(ED)の評価登録・血統証明書への記載のみです。血統書の申請は、JKC本部ではなく所属している愛犬クラブ事務所(全国1,070カ所にある公認クラブ)を経由する必要がありますので、必然的に何らかの愛犬クラブに所属している必要があります。
- 母犬の所有者が犬舎名登録をしていること 犬舎名とは血統書の「犬名」に記載される屋号に相当し、1件につき6,300円必要です。なお、会費切れから6ヶ月間経過すると、自動的に廃舎扱いとなり、改めて登録する必要が生じます。
- 母犬の血統書 JKCに血統書発行申請をする場合は、JKCに血統登録された母犬の血統書が必要となります。他団体の血統書では不可です。
- 交配証明書・オス犬の血統書コピー 交配証明書とはオス犬の所有者が交配時点で作成し、メス犬所有者へ渡すものです。なおオス犬所有者はJKC会員であること、および一胎子登録を希望する場合は、オス犬のDNA登録を完了していることが必須です。交配証明書にはオス犬の血統書コピーも添付します。
- 母犬の写真 出産頭数が多い場合、出産直後に、母親と一胎子全頭が収まった写真が必要となります。
- 血統証明書発行申請書 注意事項を熟読し、必要事項を記入の上、印鑑を押して提出します(⇒申請書PDF)。
- マイクロチップ登録(任意) 申請する子犬の血統証明書にマイクロチップ番号を記載したい場合は、同時にマイクロチップ登録を行います(⇒申請書PDF)。
- DNA登録(場合による) JKCでは以下の場合にDNA登録を義務付けており、血統書申請に際して必要となることがあります。DNA登録は1頭につき7,500円です。
・一胎子登録を希望する場合の種牡(たねおす)
・一胎子登録を希望する場合のチャンピオン台牝(だいめす)
・チャンピオン登録
・外産犬(輸入犬)登録
・血統証明書再発行(本会の原簿上に交配記録がある種牡のみ)
血統書が発行されないときは?
- 親犬の月齢 JKCでは交配できる月齢を、オス・メスともに交配時に生後9ヶ月1日以上と規定しています。これ以下であった場合には、生まれた子犬の血統証明書発行は見送られます。
- 近親交配 JKCでは、親子の交配、または同じ父母から生まれた兄妹・姉弟による「極近親繁殖」は通常認めていません。近親繁殖を重ねると、骨格や身体が小さくなったり、遺伝性疾患、欠歯、内臓疾患、陰睾丸等の発生確率が高まるからです。極近親繁殖は「許可制」となっており、事前の許可を得ていない場合は、血統書の発行が見送られます。
血統書の偽造に関して カラーコピー等を用いて改ざんされた血統証明書が流通するという事例が多発していることから、JKCではFCI(左上)、AKU(右上)、 JKC(左下)の丸い各マークが金箔になっているかどうかを真贋(しんがん)判定の基準として推奨しています(⇒見分け方のサンプル)。
また「登録内容に関し、誤りや不正またはその恐れがあった場合、調査に伴う費用負担(登録抹消等による回収補償等もこれに含まれます)や責任の所在は繁殖者となります。また、この場合、本会の判断により必要に応じて個人情報の公開をすることがあります。牡犬所有者による誤りや不正またはその恐れがあった場合は、牡犬所有者も前項の対象となります
」として、不正を試みるブリーダーに対し抑止力をかける努力をしています。
血統書の名義変更
- JKCへの入会 血統証明書の入っていた封筒裏面が名義変更申請用紙になっていますので、これを切り取って利用します。封筒を紛失したり破棄した場合は、各クラブ事務所に問い合わせて新しいものをもらいます。入会金2,000円+年会費4,000円の合計6,000円が必要です。
- 血統証明書 裏面にある「新所有者記入欄」に必要事項を記入し、捺印します。
- 名義変更料 1,100円で血統証明書発効日より6ヶ月経過後は3,200円となります
血統書詐欺について
血統書詐欺ではない場合
- 血統書の申請には時間がかかる 平成20年6月に公正取引委員会事務総局が公表した「ペット(犬・猫)の取引における表示に関する実態調査報告書」によると、血統書が発行されるまでの大まかな流れは以下です。
- 血統書の発行までにかかる時間は一様ではなく、成長・毛色・性別など生後ただちには判明しない要素があるため、ブリーダーが一定期間申請を保留すること、および血統書団体の事務手続きに2~3週間を要すること、などにより左右されます。
その結果、購入者の元へ子犬や子猫が届けられるまでに、血統書が用意されないという事態が生じるわけです。 - 購入者と小売業者の認識の違い 「ペット(犬・猫)の取引における表示に関する実態調査報告書」における消費者モニターアンケートで「血統書付」という表示があった場合、血統書をいつ受け取ることができると思うかと尋ねたところ、約85%の消費者が犬・猫の購入と同時に受け取ることができると認識していることが判明しました。
これに対し小売側は、犬・猫の販売と同時に血統書を引き渡すことができないにもかかわらず、「血統書申請中」や、「血統書は後日送付」などの説明をしっかりと行っていない場合があるようです。
こうした購入者と販売者、双方における認識の違いが、血統書にまつわるトラブルの一因になっています。
血統書詐欺の場合
国民生活センターの「ペットのインターネット取引にみるトラブル」 ではPIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に寄せられたペット購入に関する相談件数を公開しています。それによると、「1年前購入した子犬の血統書を再三請求しているが送付されない」といった約束不履行に関する相談件数が6年間(2001~2006)で1,270件にも上っています。
もちろん上記「約束不履行」の全てが血統書に関わるものではないでしょうが、一般購入者にとって「血統書詐欺」が全く無関係な話ではないことはお分かりいただけるでしょう。ちなみに以下ではペットのネット販売に関する苦情・クレームの内訳です。ここでも約束の不履行が24%近くを占めています。
また、店の側が血統書の内容が偽りであると認識していたにもかかわらず犬を購入させていた場合は詐欺罪(刑法246条)にあたり、購入者は店を告訴することもできます。なお詐欺行為によって成立した契約は、民法第6条によって取り消すことも可能です。
人はなぜ血統書をほしがるか?
ラベリング効果
「血統書付き」というラベルがあると、その意味はよく知らなくても、何となくすごい犬のように思えてしまうのは、上記したラベリング効果のよい一例ともいえます。
単純接触効果
いわゆる純血種といわれる犬種標準に沿った犬は、テレビの動物関連番組や犬の図鑑に繰り返し登場し、繰り返し私たちの目に飛び込んできます。こうした経験を重ねていくと、いつの間にか意識せずとも血統書付きの純血種に対し好感を抱いてしまうということがあるかもしれません。これが単純接触効果によって血統書に付加価値がつくというパターンです。
飼い主の見栄
血統書のメリット
- 犬種協会が決めた犬種標準にその犬の容姿が近いこと
- 親犬の素性がはっきりわかること
- ブリーダー(犬舎)が誰だかはっきりわかること
- 親犬の姿からその犬が成犬になったときの姿を想像しやすいこと
血統書のデメリット
- 犬種標準は時として犬の健康を損ねていること
- ブリーダーが近親交配で生ませた可能性があること
- 近親交配の結果、遺伝病の発生確率が高まっている危険性があること
犬の健康を損ねている犬種標準の例としては、鼻ペチャのパグは体温調整が苦手で熱中症にかかりやすいだとか、骨の形成異常(いわゆる胴長短足)をもったダックスフントにヘルニアが発症しやすいだとか、数えだすと枚挙に暇(いとま)がりません。こうしたメリットとデメリットを冷静に考慮したうえで、果たして高いお金を払ってペットショップで血統書付きの犬を飼う必要があるのかを、もう一度判断したいものです。
なお、血統書に対して価値を見出せなかった方は、犬や子犬の里親募集などを参照し、殺処分という憂き目に会う犬を一匹でも減らすという選択肢もあります。
絶対おすすめです!